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『素人の乱』

近所でいちばん大きな書店は、まあたらしい駅ビルの三省堂なんだが、掘り出し物が結構見つかるのが、昔からある路面店の江崎書店。ここで昨日もいいもの見つけました、『素人の乱』。

素人の乱、て何、ワーキングプアの社会運動、と思ったら、「1号店」だの「カフェ」だのあり、リサイクルショップの名前だということがしばらく読んでようやくわかった。
高円寺でうろうろしてる方々が、シャッター商店街で店を始めたり、インターネットラジオ始めたり、「デモだ!」と思いついて、俺のチャリ返せデモ、PSE法反対デモをやったり、ついには、杉並区議選に立候補したり(それは高円寺一揆というらしい)、ものすごいことになってることを、関わった人たちの対談で証言してる、という本。

その貧乏っぷりとか手作り感、無鉄砲、天真爛漫ぶりが、これは70年代のお話ですか、と錯覚する。高円寺はずっとそういうところなんだね。
格差社会と真っ向から戦うでもなく、流行に乗るでもなく、ビッグになるとかそういうのでもなく、ただ「なんかやりたい」「面白いことないかな」という衝動がほとばしって、ほんとにやっちゃった、みたいで爽やか。森見登見彦の小説かと思ったよ。

結構注目されて、去年は映画にもなり、こうして本も出て、カルチャー的に語られる存在になっても、主要メンバーは店舗が増えた「素人の乱」でお店をやったりしてるところが、地に足ついてていいですね。あと、かなり濃密な時間を一緒に過ごしてるのに、対談では「さん」づけで呼び合っていて、妙にさっぱりした関係みたいに見えるのが、新しいのか。「おれら、仲間」みたいじゃなくて。
面白いなー、いいなー、若者。

素人の乱

素人の乱